ミステリー小説を語る上で欠かせないアガサ・クリスティー。読んでみたいけど、作品数が多すぎて何から手に取ればいいかわからない。とお困りですか?そんなあなたに、ニューヨークタイムズの記事“The Essential Agatha Christie”の中で紹介されたクリスティーの代表作11作品をご紹介します。
アガサ・クリスティーの代表作おすすめベスト11
出版業界で最も影響力のある書評紙の1つが厳選した作品群。誰もが一度は耳にしたことのある名作から、あのキャラクターたちの初登場作品まで、どれもクリスティーの魅力がたっぷり詰まっています。
- 1 ABC殺人事件
- 2 牧師館の殺人
- 3 オリエント急行の殺人
- 4 邪悪の家
- 5 スタイルズ荘の怪事件
- 6 ナイルに死す
- 7 アクロイド殺し
- 8 そして誰もいなくなった
- 9 終りなき夜に生れつく
- 10 予告殺人
- 11 五匹の子豚
今回紹介する11作のうち9作はオーディブル聴き放題対象作品です。アマゾンAudible(オーディブル)は、本の朗読を聴けるサービス。12万冊以上の作品を聴き放題で楽しめます。
初めての方は30日間無料で、利用したことがある方も、特別価格キャンペーンを定期的に開催しているので、まずはあなたに提示されるプランをチェック。
クリスティおすすめ短編7選はこちら
1 ABC殺人事件
クリスティーが犯罪心理学に手を出した最初の一冊
こちらはオーディブル聴き放題対象作品です。アマゾンAudible(オーディブル)は、本の朗読を聴けるサービス。12万冊以上の作品を聴き放題で楽しめます。
初めての方は30日間無料で、利用したことがある方も、特別価格キャンペーンを定期的に開催しているので、まずはあなたに提示されるプランをチェック。
アルファベット順に人々が殺害されてゆくというぶっ飛んだ設定だけは有名ですが、実は「ABC殺人事件」はクリスティーが犯罪心理学に手を出した最初の1作とも言われています。
それは、ある日ポアロに届いた一通の挑戦状から始まる。
エルキュール・ポアロ氏へ
あんたは頭が鈍いわれらが英国警察の手にあまる事件を解決してきたと自惚れているのではないかね。お利口さんのポアロ氏、あんたがどこまで利口になれるかみてみようじゃないか。たぶん、この難問は、固すぎて割れないことがわかるだろう。今月二十一日のアンドーヴァーに注意することだ。
敬具
ABC
ヘイスティングスや警察は、よくあることだ。頭のイカれたやつのイタズラだと言って取り合わないが……ポアロには何かが引っかかる。こんな手紙をわざわざ送りつけてくる犯人の何かが。
ポアロの予想はあたり、Aから始まる街で、Aから始まる人物が殺された。そして悪夢は繰り返される。挑戦状を受け取りながら、事件を防げないポアロたちは無力感を募らせていく。
共通点のない被害者、殺害方法、犯人の目的は一体何なのか。小さな痕跡から犯人像を割り出していくポアロ。
「この事件の犯人の心理について、わたしはかなり明確につかんでいると思います。───ABCは犯罪を犯す度に、自信を百パーセント強めているのだと思います。手を下すたびに、”おれは頭がいい───やつらはおれを捕まえられない”と思い、自信満々になり、そのあげく不注意になる。自分の頭のよさを過信し、他の人間は全てバカだと思い込む。まもなく、ろくに用心しなくなるでしょう。───」
細心の注意を払って読めば、ポアロの最終謎解きの前にちゃんと事件が解決できます。ポアロの頭脳に挑戦して見ませんか?
2 牧師館の殺人
一流の詮索家ミス・マープル最初の事件
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
ミス・マープルに会いたいなら、まずはこれ。後にクリスティーは彼女のキャラクターをマイルドに修正してゆくようですが、初登場のマープルはもう少し強烈で、お節介で、辛辣なゴシップ好き。
「この村では、いつ食事をとるのか謎だね」わたしはいった。「窓際で立ったまま食べるに違いないな、何ひとつ見逃さないように」
マープルに限らず村中のオールドミスが噂話を拡散しまくり、絶望的に噂の回りが速いセント・メアリ・ミード村。すべての情報をつなぎ合わせてマープルが見つけた真相は……。
マープルについて、牧師の妻グリゼルダいわく
「あの人は村でいちばんの意地悪よ。村で起きることを残らず知っているうえに、そこから、とっても悪意のある推測をするの」
3 オリエント急行の殺人
数々の映像作品がありますが、やっぱり小説で読むべきです
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
国内外で多数の映画化、ドラマ化されているクリスティーの代表作。すでに結末を知っている方も多いのではないでしょうか?
豪華列車の中という舞台設定上、映像化すると華やかで魅力的なのはわかります。が、それでも、ポアロの灰色の頭脳の中に入り込んでこの事件を堪能できるのは小説だけ。
まだ結末を知らない方は間違いなく「こんなトリックあっていいの?」と衝撃を受けるでしょう。
4 邪悪の家
リゾート地でも事件に巻き込まれるかわいそうなポアロ
旧友ヘイスティングズとイギリスのコーンウォールの沿岸リゾート地へやってきたポアロ。もちろん休暇なんて楽しめるわけもなく、事件に巻き込まれてしまいます。
海は深くて美しい青、空は澄んでいて8月の太陽が燦々と輝く、おおよそイギリスとは思えないほど素晴らしい気候にも関わらず、事件解決に乗り出します。
夏休みのリゾート地で読みたい極上ミステリー。
5 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティーのデビュー作で、一番有名なあの探偵の初登場作品
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
探偵エルキュール・ポアロが初めて登場した作品であり、クリスティー最初の長編小説。
旧友のヘイスティングズが巻き込まれた毒殺事件。ベルギーから亡命してイギリスの田舎で暮らすポアロが捜査に乗り出す。慈善事業に熱心だった被害者にはポアロも恩があるようで……
「今回のことでは、お亡くなりになったミセス・イングルソープのことをずっと考えています。あの方は誰からもこの上なく愛されたわけではない───それは事実です。ですが、わたしどもベルギー人にはとてもよくしてくださった。ご恩があるんです」
絶対に犯人を取り逃したくないポアロの先の先を読んだ捜査を堪能してください。
スタイルズ荘はポアロの出発点であり、ポアロ最後の事件「カーテン」にも登場する舞台。彼を知るための必読の一冊です。
6 ナイルに死す
豪華なナイル川クルーズと謎解きを一度に楽しめるおいしい作品
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
驚くことに200ページを超えるまで殺人事件が起こらないほどの長編作品。だけど、前半部分は単なる人物紹介パートと思うことなかれ、しっかり伏線が隠されている。
リネットは厳しい調子で問い返した。
「あなた、あたしをわがままだと思う?」
「いいえ、ただ抵抗しがたい人だと思うだけ。富と魅力の結びついた効果だわ。あなたの前では何もかもへなへな。あなたは金で買えないものがあったら、微笑で買いとってしまう。その結果が、リネット・リッジウェイということになるのよ」
莫大な資産と誰もが振り向く美貌を持った若いリネットのハネムーンで起こる悲劇。乗客のほとんどがやましい秘密を抱えたナイル川クルーズが始まる。
クリスティーの上品な文体を堪能しながら、ポアロと共にナイル川クルーズに参加してみませんか?
7 アクロイド殺し
フェア・アンフェア問題を巻き起こした問題作
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
クリスティー作品を通り越して、ミステリー小説の一つのスタイルを確立したあまりにも有名な代表作。それゆえ「〜もの」としていたるところでネタバレに出会う危険をはらんでいます。
まだ内容を知らない幸せな読者の皆さんは絶対に検索せずに読んで、間違ってもウィキペディアなんて開かないでください。
ネタバレにも色々ありますが、悲しいかな、一番驚くべきポイントを一言で説明できてしまうんです。
8 そして誰もいなくなった
おそらく、史上最も完璧に細工された密室殺人
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
クリスティーの凄さを知るための必読の1冊。“そして誰もいなくなった”というタイトルにもあるように一人一人登場人物が徐々に減っていき、海の上の孤島で不信感を抱きあう登場人物たち。
クリスティー作品の中でも特にサスペンス要素が強くて、あらゆるシーンで恐怖を感じます。
ラスト、脇役中の脇役の登場人物の1人が放つなんでもない「一言」に背筋が凍ります。
9 終りなき夜に生れつく
犯人にとって、もっとも受け入れがたいラストにクリスティーらしさが滲む
呪われた地として皆から恐れられた場所で男女が出会い恋に落ちた。ほぼ恋愛小説かな?と思う前半部分をおろそかにしないで読んでほしい。
二人の幸せな新婚生活は一転、救いのない物語が始まる。
夜ごと朝ごと
みじめに生まれつく人あり
朝ごと夜ごと
幸せとよろこびに生まれつく人あり
幸せとよろこびに生まれつく人あり
終わりなき夜に生まれつく人もあり───ウィリアム・ブレイク『罪なき者の予言」
救いのないラストを読み終わった後で、もう一度読み直してみたくなる。暖炉の前でギターを手に妻が優しく歌うシーンを、幸せな結婚生活を。
終わりなき夜に生まれついたのは誰なのか。
恋愛小説としても、ミステリー小説としても楽しめる作品。
10 予告殺人
ミス・マープルの最高傑作とも言われる1冊
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
地元紙の広告欄に掲載された殺人予告。当然の事ながら好奇心旺盛な村人たちが集まる中、事件は起こる。
細心の注意を払いながら読まないと、ほぼ全てのページに散らばった誤った手がかりに惑わされてしまいます。
江戸川乱歩が褒め称え、クリスティーファンの間でも常にランキング上位を獲得する名作。
11 五匹の子豚
掘り起こした過去を辿って真実を探す記憶の旅
こちらはAudible(オーディブル)聴き放題対象作品です。
解決済みと思われた事件から16年後、真犯人は他にいると信じる依頼人が現れる。
「───あなたが興味をお持ちなのは、犯罪の心理的な面。そうですよね?それなら、年月がたったからといって、変わるものではありませんでしょ。物的証拠は消えていきます───吸殻も、足跡も、倒れた草の葉も。いまとなってはもう、見ることができません。でも、事件関係の事実を残らず調べることはできますし、当時の関係者と話をすることも、たぶんできるでしょう───みなさん、いまもご存命ですもの。───」
5人の当事者の記憶からポアロが聞き出したのは、1つの事件を巡る5つの詳細。
真犯人以外は故意に嘘をつくことはなくても、それぞれの私情を挟みまくった歪んだ証言には、あえて伏された感情、ダブルミーニングだらけの会話がたっぷり。
ポアロがそれぞれの証言をつなぎ合わせて鮮やかに真相を導き出す。
クリスティおすすめ短編7選はこちら
結局、何を最初に読めばいいかわからない?
クリスティー作品をまだ知らないなら間違いなく「そして誰もいなくなった」をオススメします。初めて読んだ時、あまりにも有名な作品ゆえに避けていたことを深く後悔しました。
それから「オリエント急行の殺人」「アクロイド殺し」どちらも有名すぎて、ふとした瞬間にネタバレをくらう可能性が高いです。なるべく事前情報なしに今すぐ読み始めてほしい。
そして、バカンスに持って行くなら、「ABC殺人事件」「牧師館の殺人」「オリエント急行の殺人」「邪悪の家」「スタイルズ荘の怪事件」「ナイルに死す」「アクロイド殺し」「そして誰もいなくなった」「終りなき夜に生れつく」「予告殺人」「五匹の子豚」つまり全て。
殺人事件ばかり起こるのにどこまでも上品なんですよ。退屈させない上品な文章。バカンスにぴったりです。殺伐とした日常の中より、ちょっと優雅な気分に浸っている時に読みたくなるのは私だけではないはず。
不思議なことに、この面白さを知ると定期的にクリスティーを読みたい!という発作に襲われるんです。ミステリーを読みたい!ではなく。
そんな発作に襲われたらもう、どの作品を手に取っても満足できます。
今回紹介する11作のうち9作はオーディブル聴き放題対象作品です。アマゾンAudible(オーディブル)は、本の朗読を聴けるサービス。12万冊以上の作品を聴き放題で楽しめます。
初めての方は30日間無料で、利用したことがある方も、特別価格キャンペーンを定期的に開催しているので、まずはあなたに提示されるプランをチェック。